野球ゲーム (3)
野球において、あからさまな力量の違いを指して「大リーグとリトルリーグ」と言う。
あの日はまさしくそれだった。
ファーストを守るシノケンはクラスで1、2に体が大きい。真冬でもランニングシャツ一枚で平然と過ごすたくましさ。彼のお父さんは国鉄駅前にあるキリンビールの工場で働いていらしゃったが、やはり立派な体格の方だった。
サードゴロだ。
その瞬間彼は深く腰を沈め打球に向かう。躍動感あふれるステップそのままにファーストへと顔を向ける。力の限り引き絞られた弓、そこから放たれた火矢のような球が指先を離れた。
うなりをあげた凄まじいボールが向かってくる。身の危険を感じたシノケンはよじるようにして身をかわした。
一塁手が野手の送球から逃げるのを見たのは後にも先にもあの時だけだ。衝撃的な場面。驚きに満ちた少年たちの声が下町の空に響く。けどあんなゴッつい球、小学生に捕れ言う方が無理やで。大人でも野球をやっている人でなければ危ないと思う。
果たして何者であったのか。いまだ謎である。まさか現役の大リーガーでもなかろうが、アマチュアにしても相当高いレベルで野球をしていたであろう事は想像に難くない。
その後、彼らがタコの公園に姿を現すことはなかった。
今週もYoutubeにピアノのBGMを投稿しています。
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「prayer 0410 〜 Soaking Worship 〜」
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PAKUTASO
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