ハッピーニューイヤー

 いつもご購読いただきまして、ありがとうございます。

今年も週イチのペースで更新していきます

ユーチューブの方ですが、ただいま機材の整備の為にお休みしています。より良い音質で、皆様にお届け出来るように取り組んでおりますので、どうぞご期待下さい。

また、執筆中の小説は今年の6月までには出版できる見通しです。

 

本年もどうぞよろしくお願い致します。

ニケ先生の思い出-6

大学のキャンパスを飾った桜は散り、寮の生活にも少し慣れ始めてきた頃、先生からの葉書が届いた。

なつかしい、癖のある独特な文字が並んでいる。

「ニケタンマね、」と言い、勢い良く黒板にチョークを走らせる先生の姿が浮かぶ。

それと同じ字だった。

ー君のひたむきな姿勢は、いつかきっと報われる。

いつしか、その葉書はどこかに無くしてしまった。

しかし、その一文は、ニケ先生の思い出の1ページに今も刻まれている。

 

 

                                おわり

ニケ先生の思い出-5

 僕の通っていた高校の運動会は一大イベントだった。

その日も、朝から市の陸上競技場を借り切って盛大に行われていた。

その時、僕はスタンドの上の方に座って競技を見ていた。ふと後ろを振り返り、競技場の外に目をやると、アスファルトの外周を先生が歩いている。

手を後ろに組み、うつむき加減で一人歩いていた。教室で見るいつもの楽しげな先生と様子が違う。じっと何かを考えているようだった。

僕は、中で行われている競技よりも、寂しそうな先生の背中の方が気になっていた。

先生は、その少し前にお母様を亡くされていたのだった。

 

                            つづく