ニケ先生の思い出-1

 国鉄、という呼び方に懐かしさ感を感じる。

それが民営化された当時は、逆にジェイアールの方に違和感があった。

「ケッタイな名前つけよったな。」

新名称の発表を聞いて、父が言った言葉だ。多くの日本人、特に父のように昭和を長く生きた世代の方々は同じ様な思いだっただろう。

その時点で15年間昭和時代を生きて、物心ついた時から国鉄という呼び名に慣れ親しんでいた僕にとっても、それは本気なのか?と言いたくなるほどに衝撃的だった。

生まれてからずっと「お父さん」呼んでいたのに、「今日からダディと呼びなさい。」と言われるようなものだ。

 しかし、その新名称も3年経った頃には随分馴染んできた。そして、僕はその年の春、JR尼崎駅の改札を通り、東海道本線の上り列車に乗りこんだ。

 

                                つづく