ニケ先生の思い出-2

 途中、滋賀県米原駅で乗り換える。関ケ原、大垣と過ぎて、たどり着いたのは穂積という岐阜県の小さな駅。

これから始まる、新しい生活への期待と不安の入り混じった気持ちを胸に、この駅に降り立った。

 大学寮とは言っても、それぞれが自由に生活をしていた。ある適度の規律はあったが、概ね各自の自主性に任せられている。

 初日の夜、お腹が減ったので、食事できそうな店を探した。落ち着いた感じの喫茶店に入り、味噌カツ定食というのを注文した。トンカツではなく、味噌カツといって甘辛い赤味噌がカツにかけてある。関西と異なる食文化に、遠くの地に来たんだと言うことを実感した。

 少し落ち着いたので、お世話になった三人の高校の先生に、挨拶のハガキを書くことにした。野球部の監督、三年生の時の担任、そしてもう一人が、社会科のニケ先生こと田中先生だ。

 

                                つづく