一期一会 その3
翌日の夜、約束の時間に公園にいると、その人はやって来ました。
「日本にも、あなたのような人がまだいるんだなあ」
私が約束通りに来たことに驚いていたようです。
昨晩に続いて戦争中の話を聞かせてくれました。
「日本語の学習する機関があってね、私もそこにいました。」
敵国である日本の諜報を目的とした訓練がなされたそうです。
「この戦争はいつ終わりますのやろなぁ。
ホンマにかないませんなぁ。」
それまで英語なまりの日本語だったのが急に流ちょうな関西弁になったのでビックリしました。しかし、それ以上に驚いたのは、その文言についてです。戦時中の日本で、日常的にそのような会話がなされていたのでしょうか?
「好きな日本の言葉と小説家の、名前です」
カレンダーの裏紙に「一期一会」「小泉八雲」とマジックで書かれていました。わざわざ書いて持って来て下さったようで、嬉しかったです。